2022.3.31

1年の終わりを強く感じるのは12月より3月。幼稚園以来ずっとそうだ。3月から4月になるたびに、周りから何人かがいなくなって、別の何人かが現れる。私にとってだけでなく、誰にとってもきっとそう。会えなくなると寂しい人も、近くに来ると嬉しい人も、…

2022.2.28

先月末の日記では個人間の暴力について記述したが、今月は同じ構図の暴力が国家間で起こってしまった。私は10代半ばの頃、人は対話によって分かり合えると考えていたが、大学に入ってからはそう単純なものではないということを理解した。だが、それでも人類…

2022.1.31

朝のニュースは毎日感染者が増え続けている話題から始まる。そんなことわざわざ起き抜けに教えてくれなくたって、もう前の日の晩に嫌というほど目に入ってきている。なんども聞かなくていい、もっと別の話題を頼む。けれど、最初のニュースが別の話題のとき…

2021/12/31

夢。一軒目の酒場を出た後、上司から「浮月」に行こうと言われる。そこは許可された人しか立ち入ることのできない横丁なのだそうだ。言われるがまま付いていくと、古めかしい料亭の並ぶ一角に着いた。遊郭のような場所だと思ったが、性の匂いはしなかった。…

スピッツの「窓」についての一考察~「ワタリ」と『或る崖上の感情』

●NEW MIKKEと「ワタリ」 6月~9月まで各地を回り、先日劇場・オンラインでの上映を終えたSPITZ JAMBOREE TOUR 2021"NEW MIKKE"。セットリストはコロナにより途中で中止となってしまったアルバムツアーと近かったが、コロナ前のセットリストには含まれていな…

負える重荷

クールビズ期間が終わってからジャケットを着て通勤するようになったので、代わりにカバンを持っていくのをやめた。ポケットの中に鍵と財布にスマホとイヤホンと文庫本を入れるのでわりとかさばるが、両手が空くから楽だ。荷物を持って行く場所は目的があっ…

2020(3/4)の記録

○1月 寒かったのか暖かかったのかもあまりよく覚えていない。この頃はしょっちゅう映画を観に行っていた。『さよならテレビ』『わたしは光をにぎっている』『パラサイト』『音楽』『家族を想うとき』など。ちょっと前はFilmarksに記録を残すようにしていたが…

イリコ

今年はまだラーメンを食べていないなと思ったら急に食べたくて仕方がなくなったので、金曜日の夜は定時で上がって帰り道とは違う電車に乗った。向かったのは4年くらい前は通勤経路だった場所にあるラーメン屋で、私が知る限りでは日本で一番濃い煮干ラーメン…

8/4雑感

春に引っ越してから電車に乗って通勤するようになった。片道1時間半ほどかかるのでなかなか遠い。通勤時間にはなるべく本を読むよう心がけており、そこそこのペースで読書するようにしていたが、本を職場で奨励されている通信教育のテキストにした途端、薄め…

正しく生きようとする人々の闇

テレビで外国人技能実習生が劣悪な待遇で働かされていることを暴露した番組が放送された。ネットでは放送中から当該企業がどこであるのかを特定しようとする人々が出現し、その結果当該企業とは異なる企業に対して誹謗中傷が浴びせられてしまった。テレビ局…

2018年の邂逅 そのうち忘れてしまうであろう出会いの記録

① 6月 東京 銀座線の向かい側に座っていた就活中の女子学生。これから志望度の高い企業の面接に向かうのかかなり顔が強張っている。それを見ていて、自分が就活生だったときのことを思い出して胸がきゅっとなった。就活でいちばん嫌だったのはオフィス街の中…

太陽の塔

2018年に訪れた中で最も印象に残った場所は太陽の塔の内部公開で間違いない。太陽の塔の内部は1970年の大阪万博後はずっと閉ざされたままだったが、今春48年ぶりに内部が公開された。私はそれ以降5月、7月と2度大阪を訪れ、2度ともなんとか予約を取って潜入…

受験勉強の思い出

私は夜型の人間で、勉強や課題をするには夜にならないとどうにもエンジンがかからない。10年近く前の大学受験のときも、流石に学期中はそう夜更かし続きというわけにもいかなかったが、夏休みともなると、毎晩家族が床に就くのを待ってからようやく参考書を…

自転車に乗って

午前中を二日酔いで葬り去ったあと、昼過ぎに自転車屋へと向かった。そこはいつ行っても必ずサチモスが流れている自転車屋で、前週注文していた少しいいクロスバイクを代金と引き換えに受け取った。午後は特に用事もなかったので、せっかくだからと自転車に…

夢と憑依は似ている

夢を見た。私は大学の小さなゼミ室に座っていて、隣には男子学生がもうひとり座っていた。しばらくすると部屋に教授が入ってきた。教授は私が学生の頃実際に授業を受けていた人物で、南インドをフィールドとする人類学者で、ヒンドゥー寺院のそばに住む不可…

春の洞窟

週末は好きなバンドのライブに行った。彼らはMCの最中に、このツアーのモチーフは春の洞窟で、皆はたくさんの花が咲いている洞窟の中へと迷い込み、そこでいい感じの音楽が流れてくるのを聴くことになるんだと言っていた。私は暗いライブハウスの中、ひとり…

二日酔い

酒を多量に飲むと眠りが浅く、いつもより1時間ほど早く目が覚める。そうすると、シャワーを浴びてから朝食をとり、ゆっくりとした朝の時間を過ごすことができるので、毎日ギリギリに起きるのではなくいつもこのリズムで生活するべきだと思う。今日もそんなこ…

2年前の今頃の日記その7 記憶が曖昧になりつつある

朝、ホテルを出て昨日乗り合いワゴンに乗った場所へと向かう。この街には菜の花畑の名所がもう1ヶ所あり、そこに向かうためだ。そこへは乗り合いワゴンではなく、中型のバスが出ていた。しばらく乗っていると車窓に菜の花畑が見えてきたので、車掌をしていた…

2年前の今頃の日記その6 菜の花畑にて

早朝、列車は雲南省最大の都市昆明に到着した。駅を出ると人や車でごったがえしていて、ここはこれまで滞在した古都とは全く違う場所なのだと気がついた。昆明は日本ではほとんど耳にすることがない都市だが、ここには600万人もの人が暮らしている。昆明駅で…

エモいと思う瞬間について考えてみた

これまで若者言葉のエモいという言葉を使ったことは一度もないし、そもそもエモいという言葉の意味をよく知らない。ただ、中途半端にエモはエモーショナルの略だということは知っていて、何かを感じたときに「感情を動かされる」なんて感想を言うなんておか…

ローカル線に乗って

学生時代、私がひとりで行く旅は全て日本の、それもほとんどの場合は田舎を訪れるようなものだった。いくつか行きたい場所をリストアップして、青春18きっぷで何泊かかけてそれらを結んで回る。当然結んだ点と点の間にもどこかしら魅力的な場所があるから、…

街が消えるということを想像できるか

ある小さな島を訪れた。この島を仮にS島と呼ぼう。私がS島を訪れたのは、たまたま近くを通りかかった際、まちの観光パンフレットで存在を知ったことがきっかけだった。S島はかつて捕鯨をしていたところで、島にある小さな博物館にクジラの骨格が展示されてい…

夏の日の突き抜けるような青い空にひこうき雲が

何度も飛行機に乗っているうちに、昔は離着陸のときは緊張してばかりいたのが、いつの間にか何も感じぬようになってしまった。しかし、飛行機のちっぽけな窓から外を眺めることだけは、何度乗っても飽きないままだ。機体が上方に傾くとともに空港や付近の建…

典型的な朝の話

1軒目の居酒屋を出たあと、連れられるがままに2軒目へと向かった。2軒目も当然居酒屋に行くものとばかり思っていたが、入ったのは厚化粧した女性がいるスナックだった。私は女性の話を全く聞かずに適当に相槌を打ち、できるだけどうでもいい曲を選んでカラオ…

1年前の今頃の日記その5 チベット寺院にて

起きてから宿を出ようとするが、宿主が見当たらない。いつもロビーに居候している男(彼は私を見かけるたび「コニチハ!」と話しかけてきた)に尋ねると、スマホの翻訳機能を使って「boss go out」と教えてくれた。いつ戻って来るのかもわからないというので途…

1年前の今頃の日記 その4 大峡谷

朝起きて、中国人向けのツアーのオフィスに行った。ここまで来たからにはチベット族の村に行きたいと思ったが、自力で辿り着くのは難しいようだったからだ。オフィスで身振り手振りで手続きをしてからしばらくすると1台のバンがやってきて、10人ほどの乗…

1年前の今頃の日記その3 シャングリラ

朝起きてチェックアウトしようとすると、宿の小姐が「時間があるならお茶でも飲んでいきなよ」と言うので、テラスに上がって共に茶を飲んだ。雲南のお茶はとても濃く、最初に器に注いだお湯は全て捨て、2杯目から飲むらしかった。ちなみにプーアル茶は雲南の…

1年前の今頃の日記その2 麗江にて

朝起きて8時頃にホテルを抜け出した。腹拵えをするつもりで古い街をフラフラしていたが、まだどこも開いていない。1時間ほど歩いてから、街外れの薄汚い路地の一角にある小さな食堂に入った。食堂と言っても少し大きな屋台のようなものだった。壁に書かれた…

1年前の今頃の日記 その1

1年前の今日の日記を、思い出しながら書いてみようと思う。旅に出た日のことだ。 二日酔いのまま、早朝にカプセルホテルをチェックアウトして空港へ向かった。 慣れない国際線だが搭乗手続きをなんとか済ませ、ロビーでTwitterを開いて「今からしばらく旅に…

弱み

地元に住んでいる中学生以来の友人たちが、私の住んでいるまちを訪れてくれた。美味しいものをたらふく食べ、酒を水のように飲み、二日酔いになりながらいくつかの観光地を適当に回った。とても楽しい、懐かしい時間だった。 帰る友人たちを見送りに空港まで…