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東京

 東京に引っ越した。郊外の町に住んで、そこから毎朝電車に乗って会社に向かう生活が始まった。朝は6時に起きて、まず作り置きしておいたおかずを弁当箱に詰め、写真を1枚撮る。そしてそれからそれ以外の雑多な準備を済ませ、7時が過ぎたころに家を出る。この時間に出発すれば電車には座れる。都心に近づくにつれ、車内は徐々に息苦しくなってくる。もうこれ以上乗りきれないのではないかと思ったころ、目的地の駅にたどり着く。この駅はおよそどの時間帯でも、浮かない顔をした人々で溢れかえっているから、私はあまり好きではないし、おそらく多くの人がそう感じているのだと思う。日が暮れるころ、今度は朝とは真逆の方向に同じルートを辿って、ふたたび郊外の町まで帰る。それを5回繰り返したら、1週間が終わる。

 このあとに続く段落を何度も書きなおしては消した。日常に色彩がないということ、生活スタイルが変わったこと、学生時代のほうが満ち足りていたと甘えた気持ちになってしまうこと、今住んでいる町は殺風景だということ、どのトピックも大した意味などなかった。ただ、生活に色彩が欲しいと感じていることはおそらく本当で、緑色に相当するものがお弁当をつくることで、桃色に相当していた桜は既に散ってしまったから、ほかの色を探さなくては、と思う。