文月

天気は未だに不安定なままだが、苦手な6月が終わって7月になった。体調の優れなかった前月とは打って変わって、今のところ7月は調子がよくて助かっている。

先日は大学があった街に帰った。東京から日帰りで行けぬ場所でもないが、せっかくなので2泊して街を歩き回った。大学の様子はちっとも変わらなかったが、私のメールボックスは当然のようになくなり、代わりに新入生の名前が書かれたシールが貼られていた。旧居にも誰かが入居していて、私が存在したという痕跡がしっかりとなくなっていることを確認した。それは寂しくはあるが、去りがたかった街を去り切るためにはありがたいことに違いなかった。
それから、次の週には好きなバンドのライブに1年ぶりに行った。彼らは私の精神を形成する過程において大きな影響を及ぼしてきたし、今後も間違いなくそうであるだろうと思う。私は彼らのことを愛してやまないがために、いつからか彼らが好きだということをあまり人に言わなくなり、大勢で行くカラオケで歌うこともやめてしまった。そんな彼らのライブはいつも心地がよくて、この瞬間は浮世に存在していないのではないかという心地になる。時々どうしたら彼らのように生きられるのだろうと考えるが、さっぱり答えが出ない。

文月は、精神的にも肉体的にも足りなくなってしまっていたものを補うことができている。けれども東京はあまり私の性に合わない土地だとも感じるから、いっそ田舎に引っ越してしまいたいとも思う。思い立ったことはやらないと気がすまないので、フラフラとどこかへ旅立ってしまおう。