エモいと思う瞬間について考えてみた

 これまで若者言葉のエモいという言葉を使ったことは一度もないし、そもそもエモいという言葉の意味をよく知らない。ただ、中途半端にエモはエモーショナルの略だということは知っていて、何かを感じたときに「感情を動かされる」なんて感想を言うなんておかしなことだなあと思う。感情を表現する言葉なんてたくさんあるのに。

 一方で、若者言葉を理解できないということは早くも老いに片足を突っ込んでしまっているようなものだという思いもあるから、遅ばせながら、このあたりで自分の中でエモいという言葉で言い表すのが妥当な感覚を10個ほど探してみたいと思う。エモいという言葉の定義は下の記事を参考にして、「うまく説明できないけれどなんかいい」と考えることにした。

独身を幸せにする「エモい」という感情の正体 | ソロモンの時代―結婚しない人々の実像― | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

○エモいと感じる事象たち

①一人旅をしている最中に訪れた映画館から、映画を見終わって出る時。周囲から隔絶された箱の中で映画(=非日常的なもの)を見て感傷的な気分になり、そこから外に出ると知らない街の景色(=映画と同様に非日常的なもの)が広がっており、非日常的な出来事の連鎖に頭の整理がつかずにクラクラするような、それでいて心地よい感覚。

 

②深夜のローカル線に乗っている時。気がつくとあたりは暗く、民家の灯りもほとんど見当たらない。汽車は乗客もまばらに終着駅に向かって走る。窓に映るのは自分の顔。これについては前回のブログにも書いた。これはエモいという感情なんだろうと思う。

 

③海に沈む夕日。空は茜色、日没が近づくに連れて赤い太陽がだんだん下に落ちてきて、大きくなってくる。太陽が半分ほど沈むと、ちょうど海に反射して丸い形になる。沈みきったあとはだんだん茜色の面積が減ってきて、これから夜が訪れるんだということがわかる。帰り道はもう夕闇の中。夕飯のことを考え始める。

 

オセアニアの南の島に行った時に乗ったボート。公園の池で漕ぐようなボートにモーターを付けて、簡単なジャケットだけ羽織って乗り込んだ。目的地は15kmほど離れた別の島で、その間ボートは全速力で大海原を横切った。波が来るたびボートは文字通り飛び、何度も振り落とされそうになった。最初はそれが怖かったが、そのうちなんだかおかしくなってきて笑いながら叫んだ。

 

⑤中国の焼豆腐屋で豆腐を食べていた時、店主の老爺から酒を進められ一緒に飲んだ時。焼酎のような強い酒を原酒のまま飲まされ、強さに驚くと老爺は笑っていた。中国語は一切わからなかったが、笑いながら何杯か飲んだ。ほろ酔いでホステルに帰った。

 

⑥中学生の頃、部屋の電気を消して親にバレないように隠れて見ていた深夜アニメ(少しエロチックで、それほど知名度のないもの)の主題歌をふと大人になってから聴いた時の感覚。当時は恋愛などしたことがなかったから、これが思春期の思い出。

 

⑦好きだった異性と電話して夜明けを迎えた時のこと。当時は寮に住んでいて、その内線電話で話していた。行こうと思えばすぐに行って話せる距離だったが、そんな関係性でもないし度胸もなかったから、電話で話し続けた。どこまでも会話が終わらないということの悦びを知った夜だった。

 

⑧受験が終わった日、就職活動が終わった日、論文を提出した日など、抑圧から開放され未来が明るく見えた日のこと。

 

⑨ロックフェスで昼間からビールを飲んでいる時。屋外で風が心地よい日なら尚更。

 

⑩情緒的な気分になる楽曲を聞いている時。2017年のエモい楽曲は以下の5曲。

Spitz/1987→

小沢健二/流動体について

・Nulbarich/In Your Pocket

・Yogee New Waves/HOW DO YOU FEEL?

・スカート/静かな夜がいい

 

こんなところでしょうか。思ったよりも考えるのに時間がかかってしまいました。みなさんがエモいと思う瞬間についても教えていただければ楽しいです。