2年前の今頃の日記その7 記憶が曖昧になりつつある

 朝、ホテルを出て昨日乗り合いワゴンに乗った場所へと向かう。この街には菜の花畑の名所がもう1ヶ所あり、そこに向かうためだ。そこへは乗り合いワゴンではなく、中型のバスが出ていた。しばらく乗っていると車窓に菜の花畑が見えてきたので、車掌をしていた10歳くらいの男の子に運賃を渡して途中下車する。このあたりの車はワゴンでもバスでも土まみれだった。

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 到着したのは金鶏峰という場所で、一面の菜の花畑が広がっており、ところどころに円錐形の山がボコボコと生えていた。中国国内から訪れる観光客も多く、畑の脇には売店がいくつもあって、あぜ道を牛車に乗って歩くこともできた。少し離れた寺院に展望台があり、登ってしばらく眼下を眺める。

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 このままバスに乗って引き返してもよかったが、地球の歩き方によるとそう遠くないところに滝があるというので見に行こうと思い、さらに先へ進むバスに乗った。バスの終着は板橋(バンジャオ)という街だった。この約1ヶ月後に私は東京の板橋区へ引っ越すことになるのだが、それを知ったのはまだ半月先のことだった。

 この板橋から乗り合いワゴンに乗り換えて滝に向かえるようだったが、ワゴンの溜まり場を探しても滝まで行けそうな車は見当たらなかった。タクシーも見当たらなかったので潔く諦め、何もない街中をしばらく歩いてから折り返した。バンジャオも板橋区も、ただ人が住むためだけの機能しか持たないという点ではそう大差ない。

 バスターミナルまで戻り、昆明に向かうバスのチケットを買う。指定されたバスの時間まで3時間ほどあったのでふたたび羅平の街を歩く。中華料理以外のものが恋しくなったのでハンバーガー屋でチキンカツバーガーを食べた。帰りのバスの中では映画が流れていたので眺める。この時の映画の内容を思い出そうとするも、2年経った今ではよく思い出せない。日本映画なら少ないキーワードでネット上を探すこともできようが、中国映画となるとそうもいかないので、永久に思い出すことはできないのだろう。確か、主人公の女性が空から降ってきた記憶喪失の男を助けて共同生活を始めるがしばらくして男を追い出してしまい、後で実は男に好意を持っていたことに気づいて彼を探そうとする、とかそんなような話だったと思う。

 昆明ではゲストハウスを予約していたので、都会を歩きながら探す。ゲストハウスが入居するビルを探すことはそう難しくなかったが、ビルの入口が見つからない。15分ほど彷徨ってもわからなかったので警備員に聞いた所、裏手にある小さなドアを開けてくれた。20階くらいある建物に入居する宿泊施設の入り口が従業員通路のような裏口だとはよもや思わなかった。難易度が高い。チェックインした後何かしら食べに外へ出たような気もするが、思い出せないし写真もないので何も食べなかったかもしれない。2年も前のことを思い出して旅行記を書こうとすると、だんだん記憶が曖昧になっていくのを実感させられる。

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