2020(3/4)の記録

○1月
寒かったのか暖かかったのかもあまりよく覚えていない。この頃はしょっちゅう映画を観に行っていた。『さよならテレビ』『わたしは光をにぎっている』『パラサイト』『音楽』『家族を想うとき』など。ちょっと前はFilmarksに記録を残すようにしていたが、いつの間にかやめてしまった。一旦やめてしまったものをまた始めるのはとても大変なことだ。それから、Gateballersのライブに行ったが、今のところこれが今年行けた唯一のライブとなっている。

○2月
連休をとって岡山・四国に出かけた。寝台列車はよい。岡山では猫がたくさんいる島と水仙が咲き乱れる島を訪れた。平日でほとんど人がおらず、灯台の下のベンチで空と瀬戸内海と水仙だけを眺めながら昼寝をした。この日が気兼ねなく旅ができる最後の日であった。翌日、徳島で開催される酒まつりに行くことにしていたが、目的地に着いた駅前の看板でコロナウイルスの影響により中止となったことを知らされた。はるばる東京から来たのに残念なことだと思ったが、むしろ東京からわざわざやって来る私のような人間がいるからこそ中止になったのでもあると考えると、なんともやり切れない気分だった。ほかには大歩危、室戸や仁淀川、松山あたりをまわったがどこも心が落ち着くよい場所であった。

○3月、4月
帰京した直後から空気が一変した。2週目頃からコロナウイルスの蔓延に伴って徐々に仕事も忙しくなり、下旬にピークを迎えた。残業が増え、休日も出勤を余儀なくされるなどかなり過酷な状況であった。この頃の細かいことがあまり思い出せない。日々の移り変わりがあまりに激しかったので、あるできごとに焦点を当てようとしてもその時点での外部環境がどのようであったのかを遡って把握することが困難になってしまった。

○5月
別の県に転居した。前に住んでいたところよりも田舎で、それ自体はよい(とはいえ、前に住んでいたところよりも今のところの方が田舎だと言うと、今住んでいるところの人々は怒るだろう)のだが、最寄りのスーパーが20時で閉まることには閉口した。コロナウイルスの影響による時短営業かと思ったが違った。ある日、帰りに間違えて最寄り駅を通過する電車に乗ってしまったところ、通過してから10分も経たないうちに車窓は田園地帯となった。田舎はよいが、田舎から都心に通うのは骨が折れる。田舎に住んで田舎で働きたいと思った。

○6月
安いレコードプレーヤーを買った。レコードが再生されるのを眺めていると心が落ち着く。最近はLPを出すアーティストも多いので、今後はLPを中心に買っていきたいと思う。中古レコード店に行って、古いレコードを買ってくるのも楽しい。オフコースのレコードを買ったらポスターが封入されていた。若かりし小田和正のポスターを部屋に飾るのも洒落ている。昔のレコードのライナーノーツは読んでいると笑ってしまうようなものもあるが、今と違ってYouTubeもない時代ではこの文章が売上を大きく左右していたのだろうと思うと、渾身のプロモーションはもっと丁寧に読んであげるべきなんだろうという気になる。

○7月
印度カリー子さんの本を買ってきてカレーを作るようになった。いちばん入門的な本を買ってきたが、これはかなりシステマチックにカレーを作れる代物なので誰にでも簡単に作れる。どのカレーも玉ねぎ、トマトなどからグレービー(要するにカレールーのようなものだ)を作り、このグレービーとほかの具材を組み合わせることで様々な味のカレーが作れるようになる。簡単であるにも関わらず日常で作るカレーの味としては文句の付けようもなく、若くしてこのような本を世に送り出した鬼才が恐ろしくも思えてくる。

○8月、9月
結局夏らしいことをした記憶がない。この頃になると半年弱続いた多忙な状況からはようやく解放されたが、反動からか仕事にあまり身が入らない。平時ではだいたい70%ほどの力配分で労働を行っていたが、長期間それを200%にすることを余儀なくされたため、この頃は体感でいうと40%ほどの出力しか得られなかった。 メンタル的にも近年の中でいちばん不調で、感情をコントロールすることが困難であったように感じる。ここ数年の間にだいぶ自立心が養われたと思っていたのだが、とんだ思い上がりであった。心身を回復するため、速やかに島か温泉に行くことが求められている。東京は東京でよいこともたくさんあるが、自然が豊かなところのほうが性にあっていると感じる。3年ほど北海道か九州に住みたい。