2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ノスタルジア

都内で催された大きな市に行った。毎年決まった日に行われる骨董市のようなもので、もう400年以上もの歴史があるらしい。私は想定していたよりもずっと窮屈な人混みに流されながら、古着や雑貨、骨董品や玩具などが並んだ露店を眺めていた。 露店の品物や、…

二十の私はもういない

久しぶりに、坂口安吾の『風と光と二十の私と』を開いた。初めて読んだのは20歳のときで、確かTwitterの坂口安吾botに紹介されたどこかの一節に惹かれて本を手にしたのだったと思う。安吾の文章を読むのはその時がはじめてで、あるときは他者に寄り添い、ま…

彷徨う夢をよく見るという話

夢を見た。私は山あいの小さな浜を見下ろす小高い丘の上にいた。眼下に見えるのは漁村だろうか、海と山に囲まれた狭い浜には、古びた家々が所狭しと並んでいた。どんな人々が暮らしているのか興味を抱いたので、私は丘を下りてみることにした。坂を下る途中…

崇められる肉

Twitterにきわどい写真をアップする女の子と、彼女を取り囲むフォロワーたちを観察するのが好きだ。いうなれば彼女は公園でパンをちぎってなげる少女で、フォロワーたちはそれに群がってくるハトだ。暇な私はその様子を少し離れたベンチから眺めている。ぼん…

ロマンチストでなければ生きている意味がない

「ロマンチストでなければ生きている意味がない」 ふと頭の中にこんなフレーズが浮かんできたことがあった。突然思い浮かんだわりにはなかなか気に入ったので、ときどき思い出してぼそっとつぶやくこともある。ロマンチックというのはいい言葉だと思う。理由…