2017-01-01から1年間の記事一覧
学生時代、私がひとりで行く旅は全て日本の、それもほとんどの場合は田舎を訪れるようなものだった。いくつか行きたい場所をリストアップして、青春18きっぷで何泊かかけてそれらを結んで回る。当然結んだ点と点の間にもどこかしら魅力的な場所があるから、…
ある小さな島を訪れた。この島を仮にS島と呼ぼう。私がS島を訪れたのは、たまたま近くを通りかかった際、まちの観光パンフレットで存在を知ったことがきっかけだった。S島はかつて捕鯨をしていたところで、島にある小さな博物館にクジラの骨格が展示されてい…
何度も飛行機に乗っているうちに、昔は離着陸のときは緊張してばかりいたのが、いつの間にか何も感じぬようになってしまった。しかし、飛行機のちっぽけな窓から外を眺めることだけは、何度乗っても飽きないままだ。機体が上方に傾くとともに空港や付近の建…
1軒目の居酒屋を出たあと、連れられるがままに2軒目へと向かった。2軒目も当然居酒屋に行くものとばかり思っていたが、入ったのは厚化粧した女性がいるスナックだった。私は女性の話を全く聞かずに適当に相槌を打ち、できるだけどうでもいい曲を選んでカラオ…
起きてから宿を出ようとするが、宿主が見当たらない。いつもロビーに居候している男(彼は私を見かけるたび「コニチハ!」と話しかけてきた)に尋ねると、スマホの翻訳機能を使って「boss go out」と教えてくれた。いつ戻って来るのかもわからないというので途…
朝起きて、中国人向けのツアーのオフィスに行った。ここまで来たからにはチベット族の村に行きたいと思ったが、自力で辿り着くのは難しいようだったからだ。オフィスで身振り手振りで手続きをしてからしばらくすると1台のバンがやってきて、10人ほどの乗…
朝起きてチェックアウトしようとすると、宿の小姐が「時間があるならお茶でも飲んでいきなよ」と言うので、テラスに上がって共に茶を飲んだ。雲南のお茶はとても濃く、最初に器に注いだお湯は全て捨て、2杯目から飲むらしかった。ちなみにプーアル茶は雲南の…
朝起きて8時頃にホテルを抜け出した。腹拵えをするつもりで古い街をフラフラしていたが、まだどこも開いていない。1時間ほど歩いてから、街外れの薄汚い路地の一角にある小さな食堂に入った。食堂と言っても少し大きな屋台のようなものだった。壁に書かれた…
1年前の今日の日記を、思い出しながら書いてみようと思う。旅に出た日のことだ。 二日酔いのまま、早朝にカプセルホテルをチェックアウトして空港へ向かった。 慣れない国際線だが搭乗手続きをなんとか済ませ、ロビーでTwitterを開いて「今からしばらく旅に…