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昔流した瓶

 絶対見つからないと思っていたのだが、高校生の頃に書いていたブログを見つけてしまった。アドレスバーにうろ覚えのURLを打ち込んでみたところ、見事に正解してしまったのだ。それほど多くの記事を残していたわけではないが、そこには人生の先行きも描けず、ただひとりで悶々としていた鬱屈とした日々が書きなぐられていた。私が書いた文章であることに間違いはなかったのだが、何年も経ってから見返すと、まるで別の人間が書いたもののようにも思え、不思議な気持ちになった。

 ブログを作ったことはこれまでも何度かあった。最初はいつも記事を書かねばという思いからまめに更新するが、そのうちだんだんと間隔が空くようになって、気がついたら放置してしまっている。たぶんいくつ記事を書いたら、何かを書きたいと思っていた気持ちが満たされて、そのブログは用済みになってしまうからだと思う。そうしてまたひとつ、ほんとうにくだらないことばかり書いた手紙を入れた瓶が、大海原へと流れていってしまうのだ。そうしてその瓶は誰の目にも触れられないまま、しかし確実に漂い続ける。

 そんな瓶をふたたび見つけることができたのだから、私はもうどこにも流れていかないように、自分の手で割ってしまおうと思った。ブログの管理画面を開こうとパスワードを推測して入力したところ、あっさりと入ることができた。ところが、最後にログインした日から時間が経ちすぎているため、メールを確認するように指示されてしまった。そのアドレスはもう使ってはおらず、メールを確認することは不可能な話だった。運営者に事情を話せばなんとかなるかもしれないと思ったが、そこまでしようという根気もなかったから、せっかく拾った瓶を私は再び流すことにした。今度こそ、その姿を見ることはもうないだろうと思う。だから瓶は永久に漂い続ける。